咽喉頭異常感症・ヒステリー球とは
風邪をひいたわけでもないのに、不快感がある、異物感がある、喉がつまって苦しい、喉に何だか違和感がある、喉に何かがつかえている感じがする、物が飲み込みにくい、など、喉に何らかの異常感を訴える症状のうち、病院で検査をしても原因がわからない、このような症状があることを「咽喉頭異常感症(いんこうとういじょうかんしょう)」または「ヒステリー球」と呼ばれています。これは病気ではありませんがDSMの診断基準上「鑑別不能型身体表現性障害」の感覚障害の一種に分類されます。
ストレスによって喉の違和感が生じやすくなることがわかっていますが、詳細なメカニズムは明らかではありません。
人によって辛い症状は異なりますが、咳、痰、喉の痛み、喉の圧迫感、吐き気、不安感、胸やけ、腹部膨満感(お腹が張ったような感覚)などが生じるケースがみられます。
症状
・物がつかえる
・締めつけられる
・イガイガする
・何か物があるような感じがする
・物が飲み込みづらい
・喉の痛みや息苦しさ、吐き気、不安感、胸やけなどの症状が現れる
・のどに違和感がある
・のどがすっきりしない
・異物感がある
・息がしにくい、または呼吸がしにくい
・しゃべりにくい、音としての声が出しにくい
・飲み込みにくい
など
原因
●全身の異常:のどの過敏性、嚥下(えんげ:飲み込むこと)機能の低下、鉄欠乏性貧血、自律神経失調症、更年期障害、など
●精神的なもの(病気):うつ病、心身症、神経症(不安神経症、がんに対する恐怖、ヒステリー)など
のどの過敏性に問題があるほか、更年期障害や自律神経失調症、うつ病など精神的症状の目立つ病気に見られることが多く、心理的に大きなストレスがかかった場合に喉の違和感が悪化する傾向にあります。
なりやすい人の傾向
・ストレスをため込みやすい
・責任感が強い人
・我慢強い人
・普段からストレスを発散することが苦手
・嫌な思いをしても我慢してしまう
・強いショックやストレスを受けた
・食欲が落ちた
・誰かに打ち明けることができず一人で抱え込んでしまう
・月経や妊娠・出産・閉経期でホルモンバランスが乱れやすい女性
・心配性な人
・生真面目な人
・我慢強い人
・不安を感じやすい人
一般的な改善方法
- リラックスする
- 腹式呼吸を行う
- 衣服の締め付けをなくす
- こまめにうがいをして、安静に過ごす
- 深呼吸をする(口をすぼめてゆっくり呼吸する)
- 座った状態で、テーブルに肘をついて体を丸めるようにする
- 首の体操をする
など
検査・診断
原因を見つけるには、血液検査や専用の質問問診票、心理テスト、医師による問診などが重要になります。
内視鏡で喉に異常がないかを視診したり、頸部を触って腫れやしこりがないかを触診したりするほか、エックス線検査やCT検査、MRI検査、頸部超音波検査などの画像検査を使い、腫瘍などの異常がないかを調べます。小さな病変の見逃しもないように慎重に行った上で、特に病気が見当たらない場合に咽喉頭異常感症と診断します。
一般的な治療
器質的疾患を認めない咽喉頭異常感症(ヒステリー球)に対する確実な治療法はありません。その症状や原因に合わせた治療を行います。慢性咽頭炎や逆流性食道炎、慢性気管支炎、甲状腺疾患、慢性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、鉄欠乏性貧血、自律神経失調症、更年期障害、糖尿病、自律神経失調症などが発症要因の場合は、それらの疾患を治療する必要があります。そのほか、カウンセリングなどの心理療法が行われることもあります。