虚弱体質障害とは、虚弱体質のために自閉スペクトラム症(ASD)(カナー型自閉症は含まれません。)、注意欠如多動性障害(ADHD)、限局性学習障害(SLD)・学習障害(LD)、発達性協調運動障害(DCD)の発達障害症状と心身症状が併発することを指します。
①自閉スペクトラム症(ASD)(カナー型自閉症は含まれません。)
人とコミュニケーションをとることが困難、強いこだわりがあるなどの特徴があるものを自閉スペクトラム症(ASD)と呼びます。この中でも、言葉の遅れや知的障害を伴うものをカナー型自閉症といい、知的障害を伴わないもの(知能指数(IQ)が70以上)を高機能自閉症(アスペルガー症候群)といいます。
ASD の主な症状と特徴
- グループでの業務・活動が苦手。
- やり取りがうまくかみ合わない。
- 伝えたいことを言葉にまとめることが難しい。
- 人の話に関心を持てない。
- 自己流で物事を進めたがる。
興味や関心が狭い範囲に限られやすく、独特の行動や振る舞い、こだわりが見られることもあります。
また、感覚が人よりもとても敏感なことがあり、逆にほとんど感じない部分がある人もいます。
②注意欠如多動性障害、欠陥(けっかん)多動性障害(ADHD)
うっかり間違いが多かったりじっとしていられないなど、いわゆる「不注意、多動・衝動型」といった特徴・症状が表れている障害です。
自分に自信が持てず、自分を否定的にとらえてしまう方、場合によっては「不安」「うつ」などの二次障害を発症します。
ADHD の主な特徴
- 順序立てて課題を進めることが難しい。
- ソワソワと手足を動かしたり、座っていてもモジモジ動いてしまう。
- 物事に集中することができない。
- 思いついた行動を唐突(とうとつ)に行う。
- 順番待ちができない。
- 落ち着きがなく、じっとしていることが苦手。
③学習障害( SLD / LD)
全般的な知的発達に遅れはないのに、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論するなどの特定の能力を学んだり、行ったりすることに著しい(いちじるしい)困難を示すさまざまな状態をいいます。
単に国語や数学が苦手ということではなく、「認知能力」や「聞いたことや見たものを処理する能力」に凹凸があり、結果として読み、書き、計算が苦手として表れている障害です。
幼少期には障害のあることがわからず、年齢を重ねて求められる水準が高度化(こうどか)するにしたがって症状が目立ち始めて、その時になってはじめて障害があることがわかったというケースもあります。
SLD / LDの主な特徴
- 文字や単語、文章を読むときに正確でなかったり速度が遅かったりする。
- 読んで意味を理解することが難しい。
- 発音が正確ではない。
- 文字や文章を書くことが難しい。
- 数の概念、数値(すうち)、計算を学ぶことが難しい。
④発達性協調運動障害(DCD)
不器用さや身のこなしの不自然さが見られる障害です。
DCD の主な特徴
- 身体を動かすことが苦手。特に野球やサッカー、ゴルフなどの球技がとても苦手。
- 身体の動きがカクカクしている。ロボットのよう。
- 手先が不器用で細かな作業が苦手。
症状
・時間や約束を守ることが苦手
・どうしていいのか分からなくなる
・人の気持ちを汲むことができない
・対人コミュニケーション能力の低下
・問題解決能力の低下
・臨機応変さの低下
・想像力や気を利かせる能力の低下
など
その他の併発をする障害
A,社会的相互作用の障害
個人やグループ間でのやりとりを計画的な反応と計画的でない反応に分け、相手がどう行動するかによって、自分の対応を変える社会的な動作に困難さがある。
B,コミュニケーションの障害
Aとオーバーラップするところもありますが、相手の話している内容がよくわからない、会話のキャッチボールが成立しないなどのことです。会話の輪に入れないこともここに含まれますが、その場合は社交不安症などの他の疾患が背景にある場合が多いです。
C,こだわり・常同性(じょうどうせい)
潔癖症や完璧主義、順序のこだわったり、同じ道順で会社に行かないと落ち着かないなどの症状のことです。強迫症状が強いこともあります。
D,感覚過敏
音、光、臭、味、触覚(しょっかく)などに敏感である。
また、感覚過敏とは逆の感覚である、鈍感な「感覚鈍麻」も多くみられます。特に自分が疲れているかがわからない、痛いとわからないといった身体感覚鈍麻が多くみられます。さまざまな感覚過敏と鈍麻が同居(どうきょ)することもあります。
E,不安・恐怖
責任感が強いために不安や恐怖がつきまとい、何度も確認をしたりと確認強迫が強い傾向です。
F,遂行(すいこう)機能の障害
遂行機能とは、実行機能ともいわれ、物事を計画し、順序立てて実行する能力のことです。片づけが苦手や料理の段取りが悪い、仕事の計画が立てられないなどの日常生活に大きな影響を与える症状です。
G,タイムスリップ現象(げんしょう)
突然、過去のことを思い出しその世界に没入(とうにゅう)してしまう体験のことです。発達障害の方はちょっとしたことでもトラウマになりやすく、特に怒られた、いじめられたなどの外傷(がいしょう)体験を思い出すフラッシュバック現象なども起こります。
H,中枢性(ちゅうすいせい)統合能力の障害
全体を見渡して物事を理解する能力のことです。物事に対して独自の解釈をしがちになり、周囲から浮いてしまいがちになります。
引用:
https://child-clinic.or.jp/illnesses/13093/
https://www.kaien-lab.com/aboutdd/definition/