下痢の症状に関する説明
(軽度から重度まで)
1.下痢の医学的定義
下痢とは、便中の水分量が増加し、便が泥状または水様となって排出される状態を指します。
一般的には、1日に3回以上の軟便または水様便が認められ、かつ本人に不快感や生活上の支障が生じている場合に下痢と評価されます。
下痢は一過性の症状として出現する場合もあれば、慢性的に持続する場合もあり、持続期間・便性状・随伴症状を総合的に評価する必要があります。
2.正常な消化・吸収と下痢発生の機序
通常、食物は小腸で栄養素と水分の大部分が吸収され、大腸では便を形成するためにさらに水分が回収されます。
下痢は、以下のいずれか、または複数の異常により生じます。
- 腸管運動の亢進(蠕動運動が速すぎる)
- 水分・電解質吸収の低下
- 腸管内への水分分泌の増加
- 腸粘膜の炎症や障害
これらにより、便中の水分量が過剰となり、下痢が引き起こされます。
3.軽度の下痢症状
(1)主な症状
軽度の下痢では、症状は比較的限定的で、日常生活をある程度維持できる状態です。
- 軟便またはやや水分の多い便
- 排便回数の軽度増加(1日3~4回程度)
- 腹部の違和感、軽い腹鳴
- 排便後に症状が一時的に軽快
(2)身体への影響
- 軽度の脱水感
- 腹部膨満感
- 食欲低下
通常は短期間で改善することが多い状態です。
4.中等度の下痢症状
(1)主な症状
中等度になると、排便回数や腹部症状が明確に増悪し、生活への影響が目立ちます。
- 水様便または泥状便
- 排便回数の増加(1日5~7回程度)
- 腹痛、腹部けいれん
- 強い便意(切迫感)
- 排便後も続く不快感
(2)付随症状
- 吐き気、軽度の嘔吐
- 全身倦怠感
- 集中力低下
- 軽度の脱水(口渇、尿量減少)
この段階では、外出や就労・通学が困難になる場合があります。
5.重度の下痢症状
(1)主な症状
重度の下痢では、身体機能や生命維持に影響を及ぼす可能性があります。
- 頻回の水様便(1日8回以上)
- 排便を我慢できない状態(失禁に近い)
- 激しい腹痛、しぶり腹
- 血便または粘血便
- 高熱を伴うことがある
(2)全身症状
- 明らかな脱水症状(口腔乾燥、皮膚乾燥、尿量減少)
- 電解質異常による倦怠感、筋力低下
- めまい、意識障害
- 心拍異常
重度の場合、速やかな医学的対応が必要です。
6.慢性下痢の特徴
下痢が4週間以上持続する場合は、慢性下痢とされます。
- 体重減少
- 栄養障害
- 貧血
- 慢性的疲労
などを伴うことがあり、基礎疾患の存在が疑われます。
7.下痢に伴う精神・自律神経症状
慢性的または重度の下痢は、
- 排便への不安
- 外出恐怖
- ストレス増大
- 睡眠障害
を引き起こし、自律神経の乱れを助長する場合があります。
8.下痢の病型と症状の違い
- 感染性下痢:発熱・血便を伴うことがある
- 分泌性下痢:大量の水様便が持続
- 浸透圧性下痢:食事内容と関連
- 運動亢進性下痢:ストレスと関連
病型により症状の現れ方が異なります。
9.日常生活への影響
下痢が続くと、
- 学業・仕事の集中力低下
- 外出制限
- 社会的活動の回避
- 生活の質(QOL)の低下
が生じます。


