(症状は先天性であり、事故などで脳の損傷や身体の損傷などをしていないことが卒業の条件となります。)
発達性ディスレクシアとは、ギリシャ語で「困難」を意味する「dys(ディス)」と、「読む」を意味する「lexia(レクシア)」が複合した単語で「字を読むことに困難がある障害」を指す通称です。
日本では難読症、識字障害、読字障害など、他にも様々な名称で呼ばれてきました。読むことができないと書くことも難しいことから、読み書き困難、読み書き障害と呼ばれることも多いです。
一方、「ディスレクシア」は、後天性の脳損傷によって生じる読みの問題も含まれます。そのため、脳損傷の既往がなくて生じている場合は、「発達性ディスレクシア」と呼び方になり、また、後天性のディスレクシアは読みの問題単独で出現しますが、「発達性ディスレクシア」では、「読み」に問題があると、多くは「書字」の問題を伴います。そのため、日本語では「発達性読み書き障害」という用語がよく用いられています。表記された文字とその読み(音)の対応が自動化しにくく、それを司る脳機能の発達が未熟とされ音韻処理という脳の機能障害であると考えられています。知的な遅れや視聴覚障害はなく、充分な教育歴と本人の努力がみられるにもかかわらず、知的能力から期待される読字能力を獲得することに困難がある状態、と定義され、通常、読み能力だけでなく書字能力も劣っています。
ディスレクシアの子どもは文字が読めないと表現されることが多いですが、これは誤りで正しくは、読むのが極端に遅い、または、よく間違えるという表現になります。
例えば、1文字を読むのにとても時間がかかり、間違えることもあるといった状態になり、読むだけで疲れてしまって、意味を把握する段階まで至りません。努力しても文字の習得が困難な先天性の障害ではあるのですが、周囲には努力していないと思われ、なかなか理解してもらいにくい障害です。
知的発達に遅れがないにも関わらず、小学6年生になってもひらがなが完璧に習得できていない重度の児童から、毎週の漢字テストは、なんとかいい点をとれても、二か月後にはその漢字をほとんど覚えていないという軽度の児童まで様々です。多くの発達性ディスレクシアのある児童・生徒にとって特別支援教育での対応が必要です。