(症状は先天性であり、事故などで脳の損傷(そんしょう)や身体の損傷などをしていないことが卒業の条件となります。※なお、知的障害を伴わない知能指数(IQ)が70以上の方に限ります。)
発達性ディスレクシアとは、ギリシャ語で「困難」を意味する「dys(ディス)」と、「読む」を意味する「lexia(レクシア)」が複合した単語で「字を読むことに困難がある障害」を指します。
日本では、難読症(なんどくしょう)、識字障害(しきじしょうがい)、読字障害(どくじしょうがい)など、他にも様々な名称で呼ばれてきました。
一方、「ディスレクシア」は、後天性の脳損傷(のうそんしょう)により生じる読みの問題も含まれ、読みの問題単独で出現しますが、脳損傷の既往(きおう)がなくて生じている場合は、「発達性ディスレクシア」という呼び方になり、「読み」の問題があると、多くは「書字(しょじ)」の問題を伴います。
そのため、日本語では「発達性読み書き障害」という用語がよく用いられています。
知的な遅れや視聴覚障害(しちょうかくしょうがい)はなく、充分な教育歴(きょういくれき)と本人の努力がみられるにもかかわらず、期待される読字能力(どくじのうりょく)を獲得(かくとく)することに困難がある状態、と定義され、通常、読み能力だけでなく、書字能力(しょじのうりょく)も劣って(おとって)います。
ディスレクシアの子どもは、文字が読めないと表現されることが多いですが、これは誤り(あやまり)で、正しくは、読むのが極端に遅い、または、よく間違える、という表現になります。
例えば、1文字を読むのにとても時間がかかり、間違えることもあるといった状態になり、読むだけで疲れてしまって、意味を把握する段階まで至り(いたり)ません。
文字の習得が困難な先天性の障害ではあるのですが、周囲には努力していないと思われ、なかなか理解してもらいにくい障害です。
小学6年生になっても、ひらがなが完璧に習得(しゅうとく)できていない、重度の児童(じどう)から、毎週の漢字テストは、なんとかいい点をとれても、二か月後には、その漢字をほとんど覚えていないという軽度の児童まで様々です。
学校では、板書(ばんしょ)をノートにとる作業が必須ですが、文字を読むことも書くことも苦手でとても困難な作業になります。
作文や漢字の書き取り、音読(おんどく)なども苦手で、とても時間がかかったり、字が汚いことなど、できないことも多々あります。
また、素早くメモを取ることができないため、先生や上司の指示を聞いたり、電話を受けた場合に困ることもあります。
また、バスや電車など、乗りたい時に行き先を認識できずに乗り遅れたりしてしまいます。
対人関係では、会話面(かいわめん)では問題がないため、良好な対人関係を築ける傾向にありますが、短期記憶も苦手な傾向にあるため、電話が誰から来たか忘れてしまったり、人の顔と名前を覚えられなかったりします。