離人感・現実感消失障害(離人症性障害)とは、解離性障害の一種です。
この障害では、自分が自己の体から一体性を失って体験されるような症状が体験されます。たとえば、現実感がなく世界との間に透明な膜が張っているような感覚といった抽象的な喪失する感覚から、自分が自分の身体から抜け出ているような感覚で自分を外から眺めているような体験まで幅があります。
離人症状が出ている間は意識状態が混濁していたり、見当識障害が認められたりするわけではなく、現実検討能力は正常に保たれています。
一時的なものであれば正常な範囲内の解離現象で、だれでも経験し得ることですが、毎日、継続的に感じるようになるようであれば生きづらさを強く感じるようになります。
解離性障害とは、解離性障害は解離性同一性障害(解離性同一症)・離人感・現実感消失障害(離人症性障害)・解離性健忘・特定不能の解離性障害の大きく4つに分けられており、解離の間に起きる症状が少しずつ異なります。
「自分が自分としてまとまっている感覚や自分はこういう存在であるという感覚(自己同一性)」が弱くなったり、失われたりしてしまうことです。
私たちの意識、記憶、思考、感情、知覚、行動、身体イメージ、アイデンティティ(自己同一性)などは1つに統合されていますが、分断され、意識や記憶などに関する感覚をまとめる能力が一時的に失われた状態や停止した状態、自己同一性が弱くなったり失われたりした状態を「解離」といいます。
何らかの原因で統合する機能が損なわれて、特定の場面や時間の記憶が抜け落ちたり(健忘=けんぼう)、過酷な記憶や感情が突然目の前の現実のようによみがえって体験したり(フラッシュバック)、自分の身体から抜け出して離れた場所から自分の身体を見ている感じに陥ったり(体外離脱体験)、自分が自分でないような感覚に陥ったりして自己統制ができなくなってしまいます。
一般的に、年齢の傾向として10代後半から20代に発症し、40歳以上ではまれとされています。日本ではやや女性が多いようです。
一時的なものであれば正常な範囲内の解離現象で、だれでも経験し得ることです。