スクールで卒業
寝たきりとは
「どこも悪くないのにどうしても起き上がることができない」「身体を動かそうとしても言うことを聞かない」「何か月、何年、何十年と寝たきりを繰り返す」など病院の検査では特定の異常が出ないのに「寝たきり」の状態になってしまうことを指します。また寝たきりに伴い「廃用症候群(生活不活発病)」「ロコモティブシンドローム(運動器症候)」など、さまざまな症候が起こる事も含みます。
廃用症候群とは「長期臥床(寝たきり)により、心身の活動性が低下してきたことにより引き起こされる病的状態」と定義されています。生活不活発病(せいかつふかっぱつびょう)と呼ばれることもあります。
廃用症候群は体を動かさなくなることで少しずつ進行する症状で、病気やケガなどで安静を保つ必要があったりして運動量が減ることで、筋肉や関節、臓器などがうまく機能しなくなります。絶対安静の状態で運動ができない状態が続くと、人間の筋力は、1週間の絶対安静で10~15%、3~5週間で50%まで低下します。また筋肉の萎縮も同時に起こるため、2か月以内に筋肉の量は半分になるといわれています。さらに、うつ状態になったり、やる気が減退したりと、精神的な機能低下も見られます。
似たような症状に「ロコモティブシンドローム」(ロコモ、運動器症候群)があります。
足腰の衰えなどが原因で、歩行や日常生活に何らかの障害をきたしている状態のことを指します。原因は加齢による衰えや筋肉、骨、関節、軟骨、椎間板といった運動器のいずれか、あるいは複数に障害がおこることが挙げられます。
体を動かすことは、筋肉や関節を動かすだけでなく、たくさんの臓器の働きにも関わっています。そのため、体を動かさない状態が長く続くと、身体機能が衰え、心身の様々な機能が低下してしまいます。
症状
・片脚立ちでで靴下がはけない
・ゆっくりとしか動けない
・階段を上がるのに身体症状が伴いツラい
・家の仕事が困難である
・買い物が困難である
・買い物をして持ち帰るのが困難である
・15分くらい続けて歩くことが出来ない
・横断歩道を青信号で渡り切れない
・1枚の用紙さえ持っていることが出来ない
・つねに何かしらの身体症状が伴う
など
①運動器障害
・筋萎縮
筋肉がやせ衰えて筋力低下がおこると、「疲れる」「動きたくない」「動けない」などの不活動な習慣になり、さらに筋力低下や不活動な習慣になってしまいがちです。
・関節を動かせる範囲(可動域)が狭まる
筋力が低下することなどで、バランスがとりづらくなったり、関節などに痛みが出たりします。
・生活や社会活動の範囲が狭まる傾向
痛みへの恐怖、バランス能力低下による不安感、関節可動域が狭まることによる歩幅の縮小など、歩きづらくなると歩く機会がおのずと減り、外出を避けて引きこもるようになります。
・1人では歩けなくなる。または寝たきりになる。
屋内での移動も徐々に困難になると、立ち上がりや歩行が1人では困難な状態になってきます。さらにはベッド周辺でしか生活できない寝たきりの状態になってしまう傾向があります。
・骨萎縮
骨がスカスカになりもろくなる。加齢とともに骨が細くなり骨量が減ることによって起こる。
体を動かす機会が減ることによって食事量が減り、栄養が減ることも原因の一つです。
②循環・呼吸器障害
・心機能の低下
・血栓塞栓症
・全身持久力の低下
・起立性低血圧
寝たきり状態になると副交感神経の活動停滞がおこり、心臓から血液が全身に運ばれにくくなります。心拍数の低下とともに低血圧や意識障害がみられるようになります。そして呼吸筋の衰えにより肺活量、換気量ともに減少、重力によって細気管支に粘液が溜まりやすく、細菌感染を引き起こしやすくなります。また、起き上がろうとしたときに血圧の低下が見られる起立性低血圧も起こりやすくなるのです。
③呼吸器系
・呼吸回数増加
・肺炎
④消化器系
環境の変化や活動量が低下することで起こる
・食欲低下
・便秘
⑤自律神経・精神障害
・抗うつ状態
・せん妄:周りの状況が理解できず、ぼんやりして幻覚や錯覚が見られる。
・見当識障害:今いる場所や時間がわからなくなる。
・認知機能低下:いわゆる「物忘れ」です。
⑥泌尿器系
・尿路結石
・尿路感染症
⑦皮膚系
・肌荒れ
・黒ずみ
・床ずれ