慢性疲労症候群(chronic fatigue syndrome: CFS)とは
1988年、CDC(米国疾病対策センター)によって「慢性疲労症候群」が病気の概念として提唱されましたが、その原因が明らかになっていない病気です。筋痛症性脳脊髄炎とも呼ばれます。
原因となる疾病が無いにもかかわらず、身体を動かせないほどの疲労が6カ月以上続き、日常生活に支障をきたすほどになる病気です。発症のきっかけとして健康な人がかぜや気管支炎などを患ったあと、かぜに似た症状がいつまでも長引くことで発症するケースが多くあります。
日常生活を送れないほどの重度の疲労感が長期間続く、しばらく休んでも改善がみられない、摂食障害や不眠などを伴うなどの場合、血液検査を含む身体診察や臨床検査(ホルモンの異常、内臓や脳、神経系の検査など)をいくら行なっても異常が見つからないときに慢性疲労症候群が疑われます。
同時に発熱、リンパ節腫大、咽頭痛などの感染症様症状、頭痛、筋肉痛、関節痛、脱力感などの膠原病様症状、睡眠障害、思考力低下、抑うつ、不安などの精神・神経症様症状などの多彩な症状も現れます。
20~50代にかけて多く発症。
男性よりも1.3倍から1.7倍女性に多く見られる傾向。
日常生活に支障をきたすほどの疲労感が引き起こされますが、仕事や育児など、疲労の原因がはっきりしている場合は「慢性疲労」であり、慢性疲労症候群には当てはまりません。
良く見られる症状
よく見られる症状として、以下のものがあります。
- 記憶力、集中力の低下
- 筋肉痛
- 関節痛
- 疲労感
- 頭痛
- 微熱
- 低血圧
- 筋力低下
- 睡眠障害
- 気分障害
- 胃腸が過敏
- 不眠と過眠
- 風邪のような症状
- わきの下のリンパ節の腫大や圧痛
- 体の体温調節がうまくなく、暑いのも寒いのも苦手
- 音や光に対して過敏
- リンパ節が腫れ、おもに首のリンパ節の腫れ
- 頭重感がある
- 筋肉や関節が痛い
- のどの痛み
- まぶしくて目がくらむ
- 疲れている
- 寝ても疲れがとれない
- ちょっとした動作ですぐに疲れる
- よく眠れない、または寝すぎてしまう
- 思考力や集中力が低下している
- 意欲がわかない
- ぼーっとすることがある
- 憂うつである
など
人によっては「箸やペンを持てない」「座るのもつらい」など、体を動かせない程の強い全身の倦怠感に陥り、休養をとっても軽減されません。
慢性疲労症候群の代表的な症状として「微熱」があげられます。
平熱より0.5~1.5℃程度高い熱が半年以上にわたって持続し、解熱鎮痛剤などを用いても熱があまり下がらないことが特徴です。 また、かぜをひいたときのような、のどの痛みや頭痛がすることもあります。
全身または特定の部位に激しい運動をした後のような「筋肉痛」があらわわれて、動くことができないほどの痛みになることがあります。
自律神経の異常により、朝起きられない、寝つけない、眠りが浅い、早く目が覚めてしまうなどの「不眠」、または日中に極度の眠気に襲われるといった「過眠」の症状が、一日のうち同時に現われることもあります。
うつ病に似た症状がでて、気分の落ち込みが続き、仕事にでられないほどまでになる場合もあります。一般的にうつ病の症状は朝に重く、午後に軽減される傾向ですが、慢性疲労症候群の場合、午後のほうが憂うつ感が強まる傾向にあります。
注意力や集中力の低下、物忘れがひどくなる、認知症のような症状がでる場合もあります。